誰が軍の統帥権をもつのか?アメリカは内戦中

ミネアポリス警官による黒人暴行死に対する抗議デモが全米各地で暴動化し各都市の抗議デモがプロのアナキスト(無政府主義)集団に乗っ取られ、破壊や略奪が横行する国内テロと化している。

街中にはレンガが積まれていたりと用意周到で、州外の車やUホールのトラックにたくさんの人を詰め込みニューヨークやDC入りして人を散らばさせ破壊や強奪を行っている。これは警察も情報を入手してるし、バー司法長官も司法省が独自調査を始めると発表している。誰が関与しているのかぜひ知りたいところだ。また警察は顔認証システムなどを導入するために予算を上げるそうだ。

暴動や強奪が起きている都市の市長や州知事は州兵を投入することに消極的だ。ニューヨーク州なんかは軽罪であれば捕まっても保釈金なしで釈放されるから、捕まってもまたすぐに破壊と強奪のルーチンに戻る。トランプ大統領は「連邦政府のあらゆる権限を行使して暴動を鎮圧する」と言明し、必要なら「米軍を投入する」と表明した。

さて連邦軍を動員させるということはアメリカ市民に軍を向けることになる。まずそんなことは可能か?ということだが、結論からすると可能だ。

連邦軍は陸軍、海軍、海兵隊、沿岸警備隊、空軍、宇宙軍の6軍だ。そして連邦軍の最高司令官は大統領である。最高司令官である大統領の作戦指揮を国防長官が補佐し、それをペンタゴン(国防総省)で統括する。もちろん戦争宣言の権限は議会が有している。

ちなみに6軍の中でも沿岸警備隊は国土安全保障省に属するため、ペンタゴンの管轄下に入るのは連邦軍のなかの5軍だ。ただし有事の時は沿岸警備隊もペンタゴン管轄下の海軍に準じた扱いになる。

沿岸警備隊=US Coast Guard
国土安全保障省=US Department of Homeland Security
(↑移民局もFEMAもここに編入された)

さて第二次世界大戦後、軍も高度化し、各軍種が専門的になってくると軍事学的にも指揮系統を統一させた統合司令部を設置することにし、軍種を地域別/機能別に統合した「統合軍」を編成して設置した。

つまり陸海空軍、海兵隊、宇宙軍は6個の地域別、5個の機能別、計11個の統合軍に編制されている。

管轄地域別
アメリカ北方軍(USNORTHCOM)- 北米担当
アメリカ中央軍(USCENTCOM)- 中東担当
アメリカアフリカ軍(USAFRICOM)- アフリカ担当
アメリカ欧州軍(USEUCOM)- 欧州担当
アメリカインド太平洋軍(USPACOM)- アジア・太平洋地域担当
アメリカ南方軍(USSOUTHCOM)- 中南米担当

機能別
アメリカ特殊作戦軍(USSOCOM)- 特殊作戦を担当
アメリカ戦略軍(USSTRATCOM)- 核兵器の運用を統括
アメリカ輸送軍(USTRANSCOM)- 戦略輸送を担当
アメリカサイバー軍(USCYBERCOM)- サイバー戦を担当
アメリカ宇宙軍(USSPACECOM)- 宇宙空間(軍事衛星の運用など)を担当

総合軍の歴史はこちらをクリック

Unified_Combatant_Commands_map.png

北アメリカ地域を担当する統合軍が北方軍なのだが、設置されたのは最近だ。2001年のアメリカ同時多発テロでアメリカ本土の防衛の必要性が重要視されたからだ。海外ばっかり守っても本土を守れなかったら意味がない。

さて、抗議デモが暴走し過激化するなか、トランプ大統領は必要なら「米軍を投入する」と表明した。大統領が連邦軍を国内で動員するためには「反乱法」を発動させる必要がある。

アメリカは各州が独立しているから、州の秩序を維持する権限は州知事にある。一般には連邦軍が国内の執行に関与するのを禁じているが、1800年代初頭に制定された反乱法は、この原則の例外を定めている。過去に反乱法発動の前例がいくつかあるが、
要するに、この反乱法はアメリカの法律の正常な執行を阻む「内乱」を鎮圧するため大統領が連邦軍を国内に派遣することを認める法だ。だから州知事からの要請がなくてもトランプ大統領が反乱法を発動すれば大統領として軍の動員を宣言できることができる。

ワシントンDCでトランプ大統領が第82空挺師団の投入の準備をしていた。第82空挺師団は陸軍の師団の一つでエリート団だ。しかし、マーク・エスパー国防長官はデモへの鎮圧のために現役の軍兵力が投入されることに対し賛成しないと記者会見で述べた。トランプ大統領に反旗を翻したエスパー国防長官はクビになるのだろうか?

第82空挺師団はDCに集められたが、エスパー国防長官によって解散させられた。しかし、ホワイトハウスの要求からまたDCに集結され、そして最終的にエスパー国防長官が解散させた。リバースのリバースのリバースだ。

トランプ大統領は軍と市民が武器を取って交戦状態になることを望んでるわけではない。「米軍を投入する」と表明しても、ハッタリの可能性もある。それよりも誰が「軍の統帥権」を持っているのか確認したかったのだろう。

軍の統帥権を持っているのは大統領だ。大統領が最高司令官だ。国防長官はあくまで大統領を補佐する役割だ。ペンタゴンが最高司令官である大統領を無視して独自に判断行動することは許されない。これこそアイゼンハワー大統領が退任演説において軍産複合体の存在を指摘し、ペンタゴンの過剰な影響力を行使する可能性を非難したではないか。

エスパー国防長官は記者会見で、「法の執行に現役軍を動員することは最期の手段であり、最も急がれ切実な状況でだけ使用されなければならない。我々は今、そのような状況にない」と発言した。

もちろんエスパー国防長官の発言は正論かもしれないが、トランプ大統領は連邦軍を正常化させることが目的だから食い違うのだろう。ジェームズ・マティス前国防長官も口出してきたから、ペンタゴン内部はトランプ大統領と密かな内戦状態かもしれない。
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