ナツメヤシの王冠と不死鳥の楽園

4月も中旬、今日は暖かく、庭のチューリップの花びらが全開していました。キリスト教圏の国では今日は復活祭(イースター)です。

復活祭とはイエス・キリストがエルサレム入りし、受難を受け、そして三日目に復活したことを記念し記憶する、キリスト教において実はクリスマスよりも重要なお祝いです。現在でもキリストの受難日である聖金曜日には、断食、または肉を食べないプチ断食する信者も多いです。

今回は復活祭週間のなかでもパーム・サンデー(Palm Sunday)と呼ばれる、イエス・キリストがエルサレム入城した日、つまりキリストが受難から三日目に復活するイースター・サンデーより一週間前の日曜日を受難週の開始日としてお祝いする聖なるナツメヤシのお話です。

パーム・サンデーとは直訳すればヤシの木の日曜日ですが、これは正確にはナツメヤシ(デーツ=Date Tree)であることが聖書に書かれています。

聖書の「生命の樹」のモデルはナツメヤシであると言われているし、コーランには マルヤム(聖母マリア)がナツメヤシの木の下でイーサー(イエス)を産み落としたという記述がある。

ところがキリスト教の世界的普及とナツメヤシの生育地は比例していないので残念ながらナツメヤシが育たない国や地方ではパームサンデーにさまざまな樹種の枝葉が代用されている。

ナツメヤシは紀元前6千年紀のメソポタミアや古代エジプトではすでに計画的栽培が行われていたと考えられている。

果実(デーツ)の部分はビタミンCを多く含む高カロリーの食用になり、乾燥させれば砂漠での大事な保存食になる。種子の部分はラクダなどの動物の飼料になり、また種子から取れる油脂は、石鹸や化粧品として用いられる。樹液は糖分を多く含むため樹液を煮詰めて砂糖をとり、酒も醸造できる。葉の部分でかごや網を編み、幹は建材としたり、燃料としても用いることができる。

高い実用性を誇る、まさに生命の樹である。高木の常緑であり、雌雄異株なので有性生殖であることも生命と繁栄のシンボルであったことだろう。

キリストに象徴される生命の樹。これが復活と永遠の勝利とみなされたナツメヤシであった。

ナツメヤシはヤシ科に属し、学名はPhoenix dactyliferaである。Phoenix=フェニックス=不死鳥である。

またナツメヤシの葉は長く、360度の放射状に垂れ下がっている。このように放射状に広がる葉は王冠(クラウン)として比喩される。

キリストが十字架にかけられた時に荊(いばら)の冠をかぶせられたが、ナツメヤシの葉にも荊(いばら)がある。ちなみに王冠のクラウンの語源はコロナだ。今世界で流行ってる病もコロナ(クラウン)のことだ。

そしてナツメヤシの果実の部分(デーツ)は熟度に応じて色々な名称があるが、その中でも完熟したものは「タマル」と呼ばれる。

タマル(Tamar)は創世記38章に出てくるユダとの間に双子を儲けるカナン人だ。双子の片割れのペレツが後にダビデ王、そしてイエスを生み出す先祖になる。

ナツメヤシはタマルでもあり、生命の木としての聖母の象徴にもなっている。そしてタマルが双子を産み落とすのは、二元の世界を象徴しているのだろう。地球に北極と南極という双子の王冠があるようにだ。

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アラブ首長国連邦のアブダビにあるシェイク・ザイード・グランド・モスク。建国の父と呼ばれる、シェイク・ザイードが埋葬されている。
ナツメヤシをデザインした1000本もある柱は千年王国を表現しているのだろう。ルネサンス期に復興したアカンサス装飾も、もとはと言えば扇形の葉を持つヤシを彫刻したものが始まりと言われている。
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